◆ビジョン
弊社は山口大学の研究開発シーズを活かした大学発ベンチャーです。革新的なDNA製造方法により核酸創薬を活性化し、健康福祉や地元産業に貢献していきます。
プラスミドDNA市場の代替
2023年ノーベル生理学・医学賞をmRNAワクチンの実用化が受賞したように、DNAやRNAといった核酸を医薬品として利用する核酸医薬品の開発が活性化しています。また、核酸医薬は、治験に入るまでの期間が短いため、これまでの低分子薬や抗体医薬よりもモダリティとしての有用性が高く、注目が集まっています。
一方で、核酸医薬品や細胞医薬品を含む遺伝子治療の製造においてカギとなるプラスミドDNAの製造は、大腸菌による大量培養が主流であり、いくつかの問題点が指摘されています。
<プラスミドDNA製造の課題>
・DNA配列に依存した収率低下
・大規模な生産設備(濃縮設備、精製設備、培養設備)が必要
・精製工程が煩雑
・法令への対応(カルタヘナ法)
これに代わる世界初の技術として、低コスト短時間でDNAを製造できる大容量PCR法が山口大学で開発されました。この方法で短時間に核酸医薬原料が製造可能となり、プラスミドDNA市場を代替できると考えています。
<大容量PCR法のメリット>
・製造設備が圧倒的に小規模で済む
・設備導入コストが非常に低価格 且つ 運転要員(技術者)も殆ど不要
・大腸菌を用いないことのメリット(安全性、安定性等)
・精製工程が容易
・組換え体でないためカルタヘナ法などの法令確認作業は不要
本事業では、大容量PCR法を医薬関連産業界に紹介供給すること、および、DNA受託製造を展開し、PCRによる核酸医薬原料製造を事業化していきます。
PCRの大容量化
PCR法とは、微量のDNAを鋳型とし、それに温度反応サイクルを与えることで1サイクルあたり倍加を繰り返し、30サイクルで理論上10億倍に増幅できる画期的技術です。新型コロナの感染検査に広く使用されたため、有名になりました。安定的なDNA増幅には高速の温度サイクルを必要とするので、これまでµLレベルの反応しかできず大容量化はできていませんでしたが、ウィルス等の存在を検出する目的ですので極少量で事足り、ウィルス等の検出技術としてPCRは発展してきました。
ヘリックスエクステンション社は、このPCR技術を改良して、検査技術だったPCRを量産技術に発展させました。
山口大学と株式会社ヤナギヤ(宇部市)の共同開発により、試作機においては200 mL PCRに成功し、1 回で100 mg以上のDNAを生産できるようになりました。
10-mL大容量PCR装置
現在、販売および試験運用を目指して販促を進めています。
本事業では、従来のコロナ検査などに使われていた小容量PCRのイメージを払拭できるよう、想定される大容量PCRデータを数多く準備し、顧客の要望に合わせた実施例を示し、販売促進につなげていきます。