◆二酸化炭素を用いた新規地盤改良工法です。
メタンハイドレート研究で培ったノウハウを活かして、研究開発を進めています。
技術の概要
地盤の強度を増加させる方法として、セメントを土に混ぜて固化させる方法が陸上では一般的です。一方で、海中では、セメントの利用により海洋汚染を引き起こす可能性があります。したがって、環境負荷の少ない地盤改良技術が求められています。
我々は、二酸化炭素をハイドレートとして地盤中に貯留する、環境負荷の少ない地盤改良工法の開発を目指して研究開発を進めています。
技術の特徴
本研究の最終目的は、二酸化炭素ハイドレートを用いた地盤改良工法の開発です。我々はこれまでに深海底地盤に存在するメタンハイドレートの資源開発に関する研究の中で、メタンハイドレートを含んだ砂の力学特性、地盤の強度、剛性を明らかにしてきました。二酸化炭素ハイドレートでも、メタンハイドレートと同様のせん断強度発現が確認できれば、二酸化炭素ハイドレートを用いた地盤改良工法の開発につながると考えています。
技術の優位性
本技術は、二酸化炭素をハイドレートとして深海底地盤中に固定する新しいアイディアに基づいています。二酸化炭素を地中(岩盤の隙間)や深海中(水深の深い海水中)に貯留するというアイディアはありますが、二酸化炭素ハイドレートとして砂地盤の間隙中に貯留するというアイディアはありませんでした。また、従来のセメントなどの化学物質による地盤改良では、化学物質の拡散による海洋汚染の可能性など環境負荷の問題も懸念されますが、二酸化炭素ハイドレートを利用する本手法は環境負荷の面でも価値が高く、工業的価値が高いといえます。
関連論文
1. Nakashima, K., Nakata, Y., Hyodo, M., Yoshimoto, N., Hiraoka, S. and Kajiyama, S.: Compressive Characteristics of Methane Hydrate-bearing Sands under Isotropic Consolidation, Soils and Foundations, Vol.61, pp.506-519, 2021.
2. 中田幸男, 吉本憲正, 米田純, 梶山慎太郎, 中島晃司: メタンハイドレート生産に関わる最近の室内試験および模型実験, 地盤工学会誌, 68巻, 7号, pp.19-22, 2020.
3. Kajiyama, S., Hyodo, M., Nakata, Y., Yoshimoto, N., Wu, Y. and Kato, A.: Shear Behaviour of Methane Hydrate Bearing Sand with Various Particle Characteristics and Fines, Soils and Foundations, Vol.57, No.2, pp.176-193, 2017.
4. Kato, A., Nakata, Y., Hyodo, M. and Yoshimoto, N.: Macro and Micro Behaviour of MH-bearing Sand Subjected to Plane Strain Compression, Soils and Foundations, Vol.56, No.5, pp.835-847, 2016.
5. 兵動正幸, 中田幸男, 吉本憲正: メタンハイドレート開発における地盤工学の役割, 地盤工学会誌, Vol.63, No.2, pp.1-4, 2015.
6. Hyodo, M., Li, Y., Yoneda, J., Nakata, Y., Yoshimoto, N., Kajiyama, S., Nishimura, A. and Song, Y.: Effects of Dissociation on the Shear Strength and Deformation Behavior of Methane Hydrate-bearing Sediments, Marine and Petroleum Geology, Vol.51, pp.52-62, 2014.
7. Yoneda, J., Hyodo, M., Yoshimoto, N., Nakata, Y. and Kato, A.: Development of High-pressure Low-temperature Plane Strain Testing Apparatus for Methane Hydrate-bearing Sand, Soils and Foundations, Vol.53, No.5, pp.774-783, 2013.
8. Hyodo, M., Yoneda, J., Yoshimoto, N. and Nakata, Y.: Mechanical and Dissociation Properties of Methane Hydrate-Bearing Sand in Deep Seabed, Soils and Foundations, Vol.53, No.2, pp.299-314, 2013.
外部資金事業 (一部記載)
1. 科研費 基盤研究(C)
「メタンハイドレート生産に加熱法は適さないのか?-熱・流体移動特性の解明と評価-」
2. 公益財団法人 中国電力技術研究財団 試験研究 2018年度
3. 公益財団法人 中国電力技術研究財団 試験研究 2014年度
4. 科研費 若手研究(B)
「深海底地盤中のメタンハイドレートの加熱法による生産性及び地盤安定性の評価」